THE DAVID BOWIE TOUR 1973(東京)

文:sumireさん
73/04/10,11 新宿厚生年金会館
                         
 1973年、当時札幌に住んでいた私は、コンサートのチケットを三越デパート札幌支店で手に入れました。発売直後というわけでもなかったのに、4/10は1階席10列目、4/11は2階席最前列、両日、中央の、新宿厚生年金大ホールで申し分のない席でした。でもBowieは左右に動き回り、歌いまくり、服を替えまくりでちっとも中央にいなくて席のことでは、失敗しました。(あの頃は座席も指定可能で、中央にこだわらなかったら、もっと前の方があったので。)

 当時のBowieのことは、今でもうまく言葉にできません。次になにが起こるのか予想もつかなくて、一挙一動目がはなせなかったのに、夢をみているような2日間でした。 十代のおとなしい良い子だった私と友人が、あの時Bowieに注目し、札幌からポーンといってしまい、そのまま夢から醒めずにずうっといるような気がします。

 ところで、コンサート会場では、レコードの即売もしていました。先着30名には、Bowieのサイン色紙付きというので、私も友人も購入しました。お互いの色紙を見比べると、サインの位置が少し違っていたような気もするのですが、物に執着しない私(整理整頓が下手ともいう)なので、引っ越しを重ねるうちにどこかにいってしまいました。友人とどうせニセ印刷だよねと言いつつ、心の隅で、日本贔屓だから一生懸命書いてくれたのかなーなんて思いました。???

 それから、4/11のアンコールでファンが、Bowieの袖を引っ張って衣装に下がっていたビーズをとってしまいました。終了後、化粧室でビーズを山分けしている子のそばに偶然居合わせた私は、ポロンと落ちたビーズをとっさに足を伸ばして一個頂いてしまいました。友人も私の機転(?)に大喜びで、二人で半分に割り、ZIGGYの衣装のかけらとして、これは大切に持っています。

 その後、来日公演の度に、いろいろチケットのことで奔走する羽目となるのですが、決して期待を裏切らないBowieなので、今年も来て欲しかったなあ・・・

(YAGI節追記)
こんなライブを見ていらっしゃるにも関わらず、sumireさんは「最新のコンサートのBowieが1番常にかっこいい」と書いて下さっていました。この言葉には感動した私です。



文:Akio Hinagoさん
73/04 新宿厚生年金会館

あれは今から25年程前の、ある3月の深夜のことです。少年時代の私は当時流行していたラジオの深夜放送を聞いていました。すると『明日、新星堂吉祥寺店でボウイのニューアルバム(アラジンセイン)を予約した方にジギースターダストの東京公演のチケットをプレゼント!』なんて、信じられない事を言っているではありませんか。もちろん朝イチで吉祥寺に飛んで行ったのは言うまでもありません。

何故こんな話をしているかと言うと当時日本ではボウイの人気はそれほどでもなかったのです。かなりマニアックな存在といった感じでしょうか。そんな訳で公演当日の厚生年金会館は若干空席があったほどです。そして客席を見渡すと不思議な雰囲気が漂っています。着物姿の芸者さんらしき人、同じく着物姿ではあるがナンカ変だぞ~って感じの人(オカマという人種を知ったのはその2年後)、もちろんグラムファッションの人など、それはそれはディープな世界でありました。

そんな会場に例の『歓喜の歌』が流れだしました。みんなザワザワと席に着いています。子供心に『このコンサートは歴史に残る、そしてこのオレは貴重なる目撃者だ』と直感しました。そして緊張がたかまる中、客電が落ち、どん帳が上がっていきます。しかしステージには誰もいません!「無」です。会場の空気は凍りついています。するとゆっくりとセリが上がってきます。その上には人形のように静止した、いや、人間のような人形か? 見事なストップモーションのジギーとスパイダースフロムマースの面々が乗っていたのです。そしてセリが上がりきると同時に、『歓喜の歌』が終り一瞬の静寂の中でミックウッドマンジーの「ワン、ツー」というカウントが響き「HANG ON TO YOURSELF」が始まりました。そして圧巻だったのはスペースオディティーが演奏された時です。巨大なミラーボールが降りてきて、厚生年金会館を一瞬にして宇宙空間にしてしまったのです。その時宇宙の果てまで飛んで行った私の心は今だに無限の宇宙を彷徨い続けているようです。

コンサート終盤の記憶は定かではありません。気がついた時、私は二階席から一階に駆け降りステージから2メートル程の所でアンコールを求めて、手が痛くなるほど手拍子を打ちまくっていました。(当時ロックコンサートの警備はあまり厳しくなかった。レインボウのコンサートで死者がでるまで。)そうこうする内に彼等が戻ってきました。何故かボウイは素足です。その素足は私の2メートル前方です。妙にナマメカシイ感じがしたのを憶えています。確か演奏したのはロックンロールの自殺者だったように思います。そしてショーは終り放心状態の私は西武線に乗って新所沢に帰って行ったのです。そして船に乗ってイギリスに帰ったボウイはジギーの終わりを宣言したのです。

以上が私のジギースターダスト体験です。なにしろ昔の事なので若干事実と異なる部分もあるかもしれません。だけど........本当に凄かったんだよ。LOVE!


(YAGI節追記)
新宿厚生年金会館(東京厚生年金会館)は解体され、2020年現在はヨドバシカメラのビルが建っているそうです。