SOUND+VISION WORD TOUR/文:YAGI節

これを書いているのは98年の9月24日です。8年前のライブの事となるとさすがにかなり忘れてしまっているのですが、朧気な記憶を頼りに書いてみたいと思います。

90/05/15 東京ドーム

思い起こせば、あれが私にとって初の「生ボウイ」でした。もうとにかく嬉しくて、ドキドキワクワクしながら東京ドームに向かったものです。が、S席だったにも関わらず、ボウイはあまりにも遠かった…。大豆位の大きさにしか見えませんでした。おまけに東京ドームの常で音は悪かったし、憧れのボウイの「声」にシビれる事もなかったし、「このツアーのハイライト」という事で楽しみにしていた「ロックンロールの自殺者」も演ってくれませんでした(体調不良の為との事でしたが、気分が乗らなかったせいかなという気がしないでもありません)。またライブでCDと同じ事をやってもつまらないと思ってなのか、はたまた楽をするせいかは定かではありませんが、歌い回しをオリジナルとはかなり変えていました。それが当時の私には馴染めず「CDの方がいいや」なんて思ってしまったんです。

感動したのは"LIFE ON MARS"。バックの巨大スクリーンにはジギー時代のボウイの顔が大写しになっていました。そして、歌の終わりと共にそのスクリーンがすーっと上がってジギーが消えたのです。この時のライブには過去のヒット曲に別れを告げるというようなコンセプトがありましたが、この瞬間にジギーがまさに死んだように思えて(もうとっくに死んでいたのかも知れませんが)、感無量になってしまったのです。「あと15年位早く生まれて生でジギーを見たかったなぁ」等、色々な思いが頭を巡って、あやうく泣く所でした。

という訳でライブにはあまり乗れなかった上に、ジギーの葬式にまで立ち会った気分になって、妙に淋しい気持ちで帰途に着きました。期待が大き過ぎたせいか、がっかりした印象が強いです。ボウイのライブを生で見れた、同じ空間にいる事が出来たという事が嬉しかった位で、それ以上の特別な満足感を得ることは残念ながら出来ませんでした。

しかし、ボウイのライブはあんなもんではなかったのですね。6年後にそれをまざまざと思い知る事になろうとは、知るよしもない私でした……。